リハビリでの課題と強み

2020.05.01

医療者だけではなく、クライアントの皆さんも、自分の問題はどこにあり、どこが正常(があるとすれば)からの逸脱なのかとして見がちです。医学は昔からこのような考え方をすることが多く、有効であることも多々あります。しかし、どうしても批判的に物事をみてしまい想定される正常からの引き算で人を見てしまいがちです。

すなわち「○○が足りない」という見方になります。これは、自己自身への視線、態度に自然に滲み出てくるでしょう。結果、他者からの視線も気になりだします。「○○が足りない」はある程度合っているのかもしれませんし、それはそれで有意義です。しかし、一面的であるといえます。
近年は、「足りない」をどうしていくかという考え方に加え、その人の強みを見つけ出す、強みを伸ばしていくという視点も重視されています。レジリエンスやポジティブ心理学(精神医学)などの分野です。

こんなに大変でも、具合がよくなくてもどうにかやっている・・・「何が足りない?」と考えることも意味はあります。冷静に自分を見つめられる人なら、より有効でしょう。けれど大概の人は、怒りだったり自責感だったり色々な感情・思考が起こって、気持ちが沈んでいくのではないでしょうか。
一方で、どうにかやっているということは、何か自分に強みがあるに違いない。それはなんなのだろうかと考えることも有効です。

両方わかれば鬼に金棒です。ディープインテンションのリハビリは、課題、強みの両方に着目して、皆さんに伴走します。

 

院長 伊川 太郎