看護師からみたWell being(よく生きる)

2018.07.19

今回は病院理念について看護師の立場からお話しさせていただきます。

「医の倫理とは」人間の至福の追及であり、すなわち「よく生きる」ことへの解明である。
これは当院の理念にある一文になります。

当院創設者が築いた病院理念が『よく生きる』ということであり、その意味を一職員として現在も深く考え続けています。
とはいえなぜ「よく生きる」ということが病院理念にあるのでしょう?
よく生きるということは一人ひとりの誰もがその言葉を意識はせず自然に求めているごく当たり前のことなのだと思っています。
それを病院理念のなかに入れているということは患者様についてのみの事柄という狭い対象にきこえてくるかもしれません。
病院理念の範囲とは病院全体のものになります。ということを考えればいかに病院の主体は患者様ということであっても、対象になるのは患者様だけでなく全職員も含まれるということになります。
では職員1人1人によく生きていますか?と聞いて「よく生きています」と自信をもって答えられる人は何人いるのでしょう。なかなか難しい質問になります。
人それぞれに家族関係・経済環境・学歴・才能などの様々な環境の違いがあります。価値観や求める幸せの形も様々です。ということは誰1人として全く同じものはないということです。
人間のよく生きるとは、自己の望むものが中心にあり現実とこれまでの経過・未来を総合的に考えたうえで、ようやく自分がよく生きているのかと考えることができるのではないかと思っております。
そのような患者様の大事な人生「よく生きる」ということを病院であるからといって簡単には結論づけることはできませんし、そのような大事なことを考えるにあたっては病院のどんな職種であれ1人の考え方だけではそこに到達できません。
当院においては各職種1人1人が専門性を生かし患者様とコミュニケーションをとりながら、カンファレンスにその一同が参加しています。毎週定期的に行い、時に本人・家族を交えながらその方が望む方向性ついてよく話し合って考える場を作っています。これが当院の「チームカンファレンス」です。
一同に集まることは業務の中では難しいことですが、チームカンファレンスができることによって、ようやくその方の「よく生きる」について少しずつではありますが、近づいていけるのではないかと考えているからです。
看護師だけでは分からない各専門職の視点や知識を持つ者が一同に集まりその内容を共有し考えていけるところが当院の治療を行うにおいての強みとなります。
患者様本人とご家族様にとって患者様の望む、より良い「よく生きる」ということを今一度考えていただく場でもあると同時に、職員である自分達自身も学び、患者様をサポートするチームの一員として「よく生きる」ということの意味と方法を考えていくことになるのです。
私たち看護師はこれを繰り返していくことが『よく生きる』ということの解明への道につながっているのではないかと考えながら看護師として日々、患者様のサポートをさせていただいております。