~クライシスプランについて~ 訪問看護チームの取り組み
日吉病院の訪問看護がスタートして7年目に入りました。
訪看の役割は、利用者様が住み慣れた町で、自分らしく満足感のある生活ができるように、看護師や精神保健福祉士等が生活の場に訪問してケアを提供することだと認識しています。
今回は私達が利用者様と一緒に作っている「クライシスプラン」についてお話させていただきます。
クライシスプランは利用者様が危機的な状況に陥った際にどのような対応をするべきかについて、利用者様やご家族と支援者があらかじめ話し合って計画しておくものです。危機的状況というと…「怖い感じ」と思う方もおられるかと思いますが、「良い状態を保つ」「病状の悪くなりはじめに気づいて早めに立て直す」「病状悪化が深刻になった時にスムーズに対処・対応する」を、実現するためのリカバリー/Well-beingを叶えるための道具の1つとご理解いただくと良いと思います。
例えば、私たちは風邪を引くことがありますが、風邪を引いたときに自分に出やすい症状を知っておけば、症状が出始めたら早期から睡眠時間をしっかりとったり、風邪薬を飲んだりするなどの手を打つことが可能になります。そういった手を打ってもなおこじらせてしまったりした場合には、病院へ行き薬をもらってゆっくり休養を取って、回復するまで無理をしないといった対処をとります。それと同じように、クライシスプランは精神科の病気の病状が悪くなってしまい、患者さんがいつものように冷静に判断できなくなった時に、あらかじめ一緒に考えておいた計画に基づき「利用者さんはどんな対応を望んでいたのか」をもとにスムーズに対応を行うためのものです。そのために病状が安定している時にこそ一緒にクライシスプランについて話し合っておくことが大切であると考えています。
さて、実際の計画の立て方ですが、利用者様と訪看スタッフと訪問時間のなかで話し合いながら、2か月程度じっくり時間をかけて作成していきます。
できる限り、利用者様の言葉を用いてプランの用紙に書き込んでいきますが、 普段の会話、ご様子などからも、相談しつつ進めていきます。
日吉病院訪問看護チームは利用者様と利用者様のご家族が、これまでよりもちょっと良い方向へ行けるように、具合が悪くなって自分でもどうしたらいいか解らなくなったときでも、できる限り望んだ対応が受けられるように共に計画を立てていきたいと思っています。