【家族教室】第1回「統合失調症を理解する」

2015.09.01

 統合失調症は、現実を正確に把握すること、感情や意欲のコントロールを保つこと、そして適切な人間関係を保つことが困難となる病気です。思春期から30歳頃までに約100人に1人の割合で発症すると言われています。不治の病、伝染病、誰かの過失によるものと考えられがちですが、脳をはじめとする神経系の機能に障害が生じる病気です。「ストレス脆弱性モデル」と表現されますが、ストレスにもろい神経系を持つ人が、さまざまなストレスに晒されて限界を超えたときに発病すると考えられています。日常生活の中でストレスはさまざまあるように、さまざまな要因が絡み合って発病するものです。

 また、統合失調症は幻覚、妄想などが強くなる急性期を経て慢性の経過をたどる病気ですが、患者さんの4分の3は、発病前と同じような生活ができるようになるまでに回復します。ただし、再発(病気の悪化)と寛解(病気の改善)を繰り返すこと、そして再発することで社会生活が中断されてしまうことが問題であり、再発予防が重要と言えます。ただし、取り巻く環境すべてに対して、患者さん一人で立ち向かうことには限界があります。そこには医師だけでなく、看護師、薬剤師、精神保健福祉士、作業療法士などの医療チームとしての関わりが必要で、かつ、患者さんに最も近い存在であるご家族に代表される援助者の協力が何よりも必要と言えます。その援助者との共同作業は長期にわたるものですが、それによって患者さんの予後(病気のたどる経過)が良くなると言われています。

 日吉病院の統合失調症家族教室では、ご家族の直接の支援が患者さんの大きな力になることを主眼に、まず第1回目は「統合失調症を理解する」をテーマにあげております。家族教室の中にグループワークの時間を設け、統合失調症の代表的な症状の一つである妄想について話し合い、理解を深めること等を行っております。参加されるご家族の方、また参加希望されるご家族の方、ご意見、ご感想ありましたらどうぞ病院まで宜しくお願い致します。