院長 伊川太郎
 
日吉心療所のHPをご覧下さりありがとうございます。
自分自身について紹介させていただくと、私は医療関係者が多くいる環境には育ちましたが精神医療には全く無縁でした。
子供の頃から医療職になると決めてはいましたが、具体的に何になろうとは考えていませんでした。
ただ「自分は何でこうなのだろうか」という疑問がつきず、ある精神療法の創始者の伝記的な本を読んだところ、「自分を知る事は他者を知ること。他者を知ることは自分を知ること」という内容に感じ、しかもこれが医学的治療法にもなると自分なりに当時理解し、これに惹かれ精神科医になりました。
実際に医者になると精神医学の主流はそのようなものではなく少し失望しましたが、薬物療法の効果に驚かされました。困っている患者さんの症状がみるみる良くなっていく経験をしました。しかし、薬だけでは難しい事もしばらくして知ることになりました。
縁があり日吉病院(現:日吉心療所)に勤める事になり、地域で暮らす患者さんをどうサポートするか、社会復帰をどうサポートするか。そのためのリハビリテーションを含めた治療をどうするかをチーム医療で考える仕事に携わることになり現在に至ります。
日吉心療所でのチーム医療に携わり、医者である私一人の想像を超えたクライアントの回復を経験し、喜びを共にすることができたと思います。
しかしながら、まだまだ発展途上であるとの思いもあります。様々な職種を擁す心療所スタッフの考え、地域の皆さんの考えをより反映し、形にした医療・リハビリテーションを提供し、Well-beingを目指したいと考えています。
統括副院長 中村亮太
このたび、日吉心療所とリンクスメンタルクリニックの統括副院長に就任いたしました、中村です。
私はもともと日吉病院のメディカルサポートセンターに勤務し、その後リンクスメンタルクリニックへ異動しました。令和6年1月からは同院で副院長として務め、我々の理念である「リカバリーとその先にあるWell-beingを目指す」を実践として更に具現化することを志し、職員と共に模索してきました。そして今回、再び日吉心療所に副院長として関わることになり、感慨深く思います。
「なぜ精神保健福祉士が副院長に?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
精神科医療は「入院中心から地域生活中心へ」という流れの中で、在宅医療や早期介入、専門的な治療やデイケアの機能強化・機能分化が求められるようになってきました。こうしたニーズに一つの医療機関だけで応えることは難しく、関係機関と連携し、機能を補完し合うことが不可欠になっています。
ところが現実には、「精神科医療はわかりにくい」「つながりにくい」という声を他機関から耳にします。連携を支えるためには、相互理解と信頼関係が必要不可欠です。
精神保健福祉士はクライエントがどのように世界を見て、感じて、行動しているかを追体験することで理解し、問題解決プロセスを通して、その人らしいライフスタイルの獲得を目指して支援していく専門職です。支援の中ではクライエントとの面接だけでなく、他職種・他機関との連携をフットワーク軽く行っていきます。そうした専門性を持つ私が副院長を務めることで、地域の関係者と「顔の見える対等な関係」を築きながら、それぞれの立場や機能を理解し合い、補完し合える連携体制をつくっていきたいと考えています。それが結果として、クライエントにとって最良の支援につながると信じています。
今後は、元住吉と中川にある2つのクリニックを行き来しながら両院長を支えるとともに、価値を共有し、さらなる連携とそれに基づく協働・創造できる体制づくりに尽力してまいります。クライエントである皆様のリカバリー、スタッフの働きがい、そして地域への貢献――この三つを胸に、皆さまと共に、より良い精神科医療を築いていければと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。